日本社会福祉学会関東部会

国立コロニーのぞみの園の入所者と家族の状態像
―1970 年代を中心とした文献研究―


 原田 玄機 (高崎経済大学,独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園(客員研究員))


 抄録

 本研究では,国立のぞみの園がどのような知的障害者・家族を対象としていたのかを明 らかにすることを目的とした.時期は開設時の 1971 年から 2002 年度までとし,記念誌や年 報,報告書をもとに,知的障害者の性別・障害,施設に至るまでの来歴や,家族の健康状態や 職業・経済階層,家族との関係を分析した.その結果,対象となっていた知的障害者の状態像 は,重度知的障害者や身体障害をともなう知的障害者が大半であった.また,戦後生まれの在 宅者が中心であった.一方,家族の状態像は,まず,低所得層は多いものの,特定の健康状態 や経済階層への集中は見られない.次に,生涯の保護を求める傾向が強いが,家族との関係は 継続していた.ここから,国立のぞみの園の歴史の整理に加え,記念誌や年報が歴史研究に とって有望な資料であると示した.さらに,戦後知的障害者福祉が主たる対象としなかった 人々の生活の特徴を探究するという課題を提起した.

Key Words:知的障害,家族,のぞみの園,入所施設,歴史

社会福祉学評論(25):86-99、2024


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