日本社会福祉学会関東部会

社会福祉士制度における専門職概念の変遷
―行政資料の質的分析を通じて―


 道念由紀 (明治学院大学社会学部付属研究所研究員)


 抄録

 本稿の目的は,社会福祉士制度における専門職概念の変遷過程と,「ソーシャルワー ク」,「相談援助」,「社会福祉援助技術」という用語の使用状況や相互の関連性を明らかにする ことである.研究対象は,社会福祉士制度を審議した行政資料とした.研究方法は,質的分析 であるテーマ分析法を用いた.結果として,社会福祉士の専門職概念は,個別の対象者に対す るサービスの利用支援から,地域の連携,協働の促進や支援体制の構築といった地域福祉の 増進へと変化したことがわかった.また,「ソーシャルワーク」,「相談援助」,「社会福祉援助 技術」は,相互に代替的に使用されてきたが,近年は「ソーシャルワーク」と「相談援助」の 相違が論点となり,さらに「ソーシャルワーク」の概念には有識者間でも乖離が見られること がわかった.今後の社会福祉士制度の発展に向けては,「ソーシャルワーク」の概念の明確化 と,認識の共有の促進が必要と考えられる.

Key Words:社会福祉士,専門職性,概念,行政資料,質的分析

社会福祉学評論(25):72-85、2024


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