グループホームから他の地域生活への 移行に関する研究
―知的障がい者を対象にした意思決定と支援内容の分析―
望月隆之 (東洋大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程,聖学院大学心理福祉学部)
抄録
本研究は,知的障がい者がグループホームから他の地域生活(一人暮らし,結婚生活
等)への移行に至るまでの意思決定のプロセスを分析し,どのようにして他の地域生活への
移行を実現したのかについて明らかにすることを目的としている.過去にグループホームで
生活し,その後,他の地域生活へと移行した知的障がい者 3 名を主たる調査対象者としてイ
ンタビュー調査を行い,複線経路・等至性モデル(TEM)を用いて分析を行った.分析の結
果,知的障がい者同士の関係性が意思形成に影響を及ぼしていることが明らかとなった.ま
た,サービス管理責任者による家族との交渉を行う支援が移行を促進する要因となっており,
一人暮らしや結婚生活が継続できるよう,様々な社会資源とのつながりを構築しながら,他の
地域生活への移行を見据えた環境整備が求められることを明らかにした.