不適切なかかわり等の経験をもつ職員の学び直しのプロセス―障害者支援に携わる職員へのインタビューより─
原田聖子 (東洋大学大学院社会福祉学専攻博士後期課程/江戸川学園おおたかの森専門学校)
抄録
本研究の目的は,知的障害者の支援において不適切なかかわり等をおこなった職員が学び直し,適切なかかわりができるようになるプロセスと要因を明らかにすることである.6名の職員のインタビュー・データをクラシック・グランデッド・セオリーで分析した結果,職員は『利用者視点でのふりかえり』を獲得することがわかった.その獲得プロセスにおいては【「学び直し」を支える】上位者の影響が大きい.職員は自身や利用者への見方を変えることに【抵抗と葛藤】があるが,上位者に加え,【ステキを見せる】利用者,【学びを支える】職場,そして自身の《抱き続けたわだかまりと成長欲求》,《上位者への信頼》および【時間】が作用し,【「教え」が腑に落ちる】.【利用者視点の利用者理解】が進み,【利用者との関係を築く】ことができるようになったことで【支援の価値観の自論化】が図られ,『利用者視点によるふりかえり』ができるようになる.