生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業における世帯支援をめぐる行政審議の課題―議事録分析を通じて―
朴 東民 (立教大学大学院コミュニティ福祉学研究科(博士後期課程))
抄録
本研究の目的は,生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業における世帯支援をめぐる行政審議の内容を検討し,審議の論点について考察することである.本事業の成立に際して意味をもつ行政審議の議事録を分析し,2つのメインカテゴリ『 』,3つのサブカテゴリ《 》,7つのコード【 】を抽出した.『世帯支援が注目された背景』については,学習支援の塾化が進展する状況に対する憂慮の声が上がり,そのような文脈下で学習支援と世帯支援の一体的な実施の必要性が示された点を確認した.また,本研究では,行政審議で議論された世帯支援の類型を連携型と単独型に分類したうえで,後者の『単独型世帯支援のあり方』に焦点を当て,関連した主張の論拠と内容について検討を行った.これらの論点は,複合的な生きづらさを抱えている生活困窮世帯の子どもの実質的な権利保障を実現していくうえで欠かせない論点であり,今後さらなる検討が望まれる.