日本社会福祉学会関東部会

一般就労における精神障害・発達障害を持つ当事者のリカバリーのプロセスの研究―特例子会社及び障害者雇用枠で就労している当事者のインタビュー調査から―


 野口美和子 (上智大学大学院総合人間科学研究科社会福祉学専攻博士後期課程研究生)


 抄録

 本研究は,精神障害・発達障害を持つ当事者の一般就労におけるリカバリーのプロセスを明らかにすることを目的として,現在,特例子会社や企業の障害者枠で一般就労している当事者への半構造化インタビュー調査による質的研究を行った.その結果,就職活動や就職後の過程において,当事者が,自身の障害特性や社会的障壁から生じる様々な困難に対処するために試行錯誤を繰り返しながら,課題を解決するための選択を積み重ねていくなかで,行動パターンや価値観が変化していき,肯定的なアイデンティティを再構築していくというリカバリーのプロセスが明らかになった.このプロセスには2つのバリエーションが存在した.いずれのリカバリーのプロセスもAndresen et al.(2003)の5つのプロセスに重なるものであると考えられ,重篤な精神疾患からのリカバリーの定義やプロセスが一般就労が可能な当事者のリカバリーにも当てはまることが明らかになった.

Key Words:リカバリー,一般就労,精神障害・発達障害,インタビュー調査

社会福祉学評論(22):109-123、2021


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