ホームヘルパーのケア提供におけるレジリエンス要因
酒田和久 (かずわく福祉株式会社)
抄録
本論の目的は,ホームヘルパーの在宅ケアにおいて生じているレジリエンスを導く要因とレジリエンス要因の因子間の関係性の考察による終末期や困難なケアなどの経験から得られるホームヘルパーの成長要因の明確化である.ホームヘルパーを対象に無記名自記式質問紙調査を行い,レジリエンス要因に対する探索的因子分析と共分散構造分析と相関分析,レジリエンス要因と PTGI(Post Traumatic Growth Inventory)に対する重回帰分析を行った.探索的因子分析の結果,レジリエンス要因は,獲得的レジリエンス要因 3 項目と環境的レジリエンス要因 2 項目が得られた.終末期ケアの経験があるグループが有意にレジリエンス要因と PTGI の回答が高い値であった.ホームヘルパーは,問題解決志向をもち利用者本人・家族との親密な関係や共感を共有する関係を形成し,困難なケアや終末期ケアの経験からスキルや意欲などを獲得し介護職としての成長を得ていくと考えられた.