日本社会福祉学会関東部会

中国都市部社区における住民の隙間のニーズへの支援―社区網格化管理制度における網格長のアウトリーチ実践の分析から―


 劉 鵬瑶 (東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科)


 抄録

 本研究は隙間のニーズに対応しようする中国都市部社区網格化管理制度を取り上げ,制度の実践者である網格長の活動に焦点を当て,支援実態を明らかにするとともに,網格長が発見した既存の社会資源では対応しきれない隙間のニーズへの対応を明らかにする.A市B区で6名の網格長にインタビューを実施し,継続的比較分析法に従って分析した.その結果,網格長は社会資源で対応できる一時的な困りごとを解決することで,住民から業務的関係を形成する.しかし,社会資源が不足するなか,継続的な困りごとに対応する場合には,住民と身近な関係を構築し,さらに支援が進行していくなかで,網格長は日常的にその地域の住民から協力を得るという関係を形成していることがわかった.このように,住民と網格長が協力し合うという良いサイクルが生じることによって,新たな隙間ニーズを速やかに発見することができ,社区内の支援が円滑に進むようになることを明らかにした.

Key Words:隙間ニーズ,社区支援,社会資源,社区網格化管理,網格長

社会福祉学評論(22):12-26、2021


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