日本社会福祉学会関東部会

日韓の子ども・若者政策の政策形成過程についての一考察―イシュー・ネットワークに着目して―


 松村 智史・朴 在浩 ( 東京都立大学人文科学研究科 博士研究員)


 抄録

 本稿は,近年の日韓の具体的な政策事例に基づき,政策課題の設定のみならず,政策課題に対応する政策形成過程におけるイシュー・ネットワークに着目し,考察を行ってきた.その結果,日韓ともに,従来型の官僚主導型から,市民団体や研究者など多様なアクターがイシュー・ネットワークに参加し,現代の複合的な政策課題に迅速に対応するべく,政策を形成していく過程が明らかになった.
 韓国は,日本と比べて,市民運動,研究者,政治家などが連携したネットワークを活発に形成し,市民主導の政策プロセスが発展している.また,当事者である若者がイシュー・ネットワークに参画する仕組みも形成し,日本にも示唆を与えるものと考えられる.
 今後の課題として,本稿でみてきたような日韓の新たな政策形成過程の動向や発展を注視しつつ,日韓の差異を生み出している要因や,政策形成の新たなあり方について,さらに考察を深めていきたい.

Key Words:日韓比較,イシュー・ネットワーク,子ども・若者支援,政策動向,福祉モデル

社会福祉学評論(22):1-11、2021


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