日本社会福祉学会関東部会

社会福祉学における「社会化」―「看取りの社会化」の概念構築に向けて―


 白石 敦子 (日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程)


 抄録

 本研究の目的は,「介護の社会化」をはじめとする,社会福祉学における「社会化」の議論展開と主要な論点,定義・意味を整理することによって,「看取りの社会化」の概念構築に向けた示唆を得ることである.
 社会福祉学における「社会化」は,議論された時期が各領域で異なるが,それぞれの時代背景や社会情勢,価値や規範等の変容などの影響を受け,制度・政策等とのかかわりを通して「社会化」が推進されてきた点で,共通している.また,一見,それぞれの「社会化」は多様な意味を持つが,その中心には,「これまで家族等が私的に・限られた範囲内で行ってきたことを,これからは社会全体で行っていく」という核と なる概念があることが明らかとなった.
 「看取りの社会化」の概念構築には,社会福祉学における「社会化」の中心概念を基盤として,看取りを社会全体で行うことの理念・目的と責任主体を明確化し,制度化の検討が重要との示唆を得た.

Key Words:看取りの社会化,介護の社会化,制度化,社会福祉学,概念構築

社会福祉学評論(21):1-13、2020


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