生活保護制度の運営管理における基準の明確化と手続的権利の保障―熊本県及び熊本市の業務マニュアルからの考察―
大山 典宏 (立教大学大学院コミュニティ福祉学専攻(博士後期課程))
抄録
本稿は,生活保護法の改正に伴い,都道府県等に対して管内実施機関への助言その他の援助の規定が追加されたことを受け,小川政亮の『社会保障の権利』論に依拠し,実体的保護請求権及び手続的権利の保障という評価軸をもとに,都道府県等が作成した地方マニュアルから研究対象を選定し,個別のマニュアルの内容を詳細に検討することを通し,生活保護制度の運営管理における示唆を得ることを目的とした.
先行研究を踏まえ,実体的保護請求権を保障する事例として熊本市の『熊本市生活保護マニュアル』を,手続的権利を保障する事例として熊本県の『生活保護ケースワーカー必携』を選定し,公文書情報公開請求で入手した資料の分析及び策定団体へのインタビュー調査を実施した。
調査の結果,地方マニュアルは,利用者の権利保障という視角から生活保護制度の運営管理を考える際に,有効なものであることを明らかにした.
先行研究を踏まえ,実体的保護請求権を保障する事例として熊本市の『熊本市生活保護マニュアル』を,手続的権利を保障する事例として熊本県の『生活保護ケースワーカー必携』を選定し,公文書情報公開請求で入手した資料の分析及び策定団体へのインタビュー調査を実施した。
調査の結果,地方マニュアルは,利用者の権利保障という視角から生活保護制度の運営管理を考える際に,有効なものであることを明らかにした.