ACT にみる家族の心的態度の変化 ―利用者家族への時系列的聞取りとその質的分析から―
佐川 まこと (東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科 ヒューマンデザイン専攻博士後期課程)
抄録
包括型地域生活支援プログラム(ACT)における家族支援の効果を家族のリカ
バリーという視点から明らかにすることを目的として,ACT 利用の6 家族に当事者・
家族・ACT の3 者の関係と家族の心的態度の変化に対する調査を行った.ACT 利用
半年以上と1 年9 ヶ月以上の2 時点で聞取る質的調査により,その結果を比較検討し
た.その結果,1.心を開きお互いを思いやる当事者,家族の関係が実現し,2.親亡
き後の不安が解消し,家族の満足度は高くなっていた.一方,不安が解消されない家
族も存在したが,ACT に支えられ,当事者を受容することができていた.3.家族と
当事者とACT の3 者が共に歩む中で,3 者の好ましい関係が構築され,家族は安心
と前向きな気持ちを持てるようになり,家族がリカバリーしている可能性が示唆され
た.