日本社会福祉学会関東部会

就労継続支援B型事業所における障害者のための QWL(Quality of Working Life)の構造-所長を対象とした全国アンケート調査の結果から-


 中尾文香 (東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期課程)


 抄録

 全国の就労継続支援B型事業所(以下,「B型事業所」とする)の所長408名に対しアンケート調査を実施した.本研究の目的は,B型事業所が提供する就労支援サービスや就労環境を明らかにし,QWLに基づいた就労支援がどのようなものであるかを検討することにある.探索的因子分析の結果,B型事業所のQWLの因子構造は,「個々の働きがい」「教育・訓練とキャリア」「職員の育成」「法人・障害者の強みや地域との連携を活かした事業」「地域で役割をもった自立した生活」「法人の理念・ビジョンに基づいた運営と支援」「障害者・家族と事業所のニーズの相違」の7因子から成り立っていた.第1因子である「個々の働きがい」がコア概念となり,それ以外の第2から第7因子はそれを補う環境やシステムに関する概念として存在していた.B型事業所のQWLは障害者の「個々の働きがい」のみならず,周囲の環境やシステムが整えられていることも重要であることが示唆された.

Key Words:就労継続支援B型事業所,QWL(職業生活の質),働く権利

社会福祉学評論(16):42-56、2016


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