登録型ホームヘルパーの就業動機と勤続の諸要素―長期勤続者のライフヒストリーから―
横井葉子 (大阪府立大学大学院人間社会学研究科社会福祉学専攻
博士後期課程)
抄録
首都圏のA市で20年以上勤続する登録型ホームヘルパー8名にライフヒストリー・インタビューを行い,どのように就業に至ったか,雇用や収入が不安定であるにもかかわらずなぜ勤続してきたのかを調査した.その結果,勤続者ら(全て女性)は,A市の人口急増期である高度経済成長期に全国各地から転入し,ホームヘルプ制度の普遍化政策と女性の就労支援策の影響を受けてホームヘルパーになったとわかった.また,明確な就業動機と,ケアの仕事の根源にある児童期・青年期の経験が観察された.勤続については,①前提条件,②働き続けることを可能にする要素,③同じ職種にとどまらせる要素が抽出され,内的動機と規範意識がこれらに影響していると考えられた.さらに,「自分に特有の能力(Mayeroff 1971:70)」を用いたサービス利用者とのケアの関係は,「生の意味を生きる(Mayeroff 1971:70)」充足感をもたらし,離職を躊躇させると考えられた.