日本社会福祉学会関東部会

地域生活移行の実態と地域福祉における支援のあり方~更生施設退所者の実態調査結果より~


 黒岩亮子 (日本女子大学人間社会学部社会福祉学科)


 抄録

 今日,障害者やホームレスの地域生活移行が進められ,支援が必要な人を地域で支えていくという地域福祉の推進が目指されている.しかし,地域住民同士の「つながり」が強調されがちで,支援対象となる人の地域生活の実態は必ずしも明らかになってはいない.
 本稿は,更生施設退所者の実態調査から,彼らの地域生活の実態を明らかにすることを目的とするものである.また,地域生活を開始し維持していくために必要な支援についても検討した.
 更生施設退所者は精神疾患などの病気を抱えており,生活保護や他の福祉サービスを利用していた.そのため,制度や支援者との「つながり」は持っている.一方で,地域住民とのインフォーマルな「つながり」は弱いことが明らかになった.地域生活移行は,施設から地域の専門職や地域住民の支援へと移行していくプロセスでもある.そのため,施設が持つ支援のノウハウを地域に還元し,専門職や地域住民と連携して支援をしていくことが望まれる.

Key Words:地域福祉,つながり,地域生活移行,精神障害者,ホームレス

社会福祉学評論(11):15-30、2012


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