日本社会福祉学会関東部会

母子世帯の当事者組織の意装と歴史的展開:日本における主要な当事者組織を事例として


 大友優子 (新潟県立看護大学)


 抄録

 日本の母子世帯の当事者組織として,主要な3つの当事者組織を取り上げ,組織化の背景,展開過程と活動内容,特に政策への関与状況を明らかにした.

 3つの当事者組織に共通する特徴は「死別,離別,未婚・非婚等の類似した背景を持つ者同士が集まりやすい」ことと「母子世帯の問題に包括的に取り組む必要がある」ことであった.また,いずれの組織においても母子世帯の問題に取り組むために,生活全般に関わる幅広い事業を展開し,母子福祉の政策形成に影響力を与えるために政治的活動を展開していたことが明らかになった.

 離別母子世帯の増加に伴い,児童扶養手当等の母子福祉予算が削減される方向にある.これに対抗するべく,当事者組織は政治的活動を行ってきた.しかし,児童扶養手当についてみる限り,譲歩を勝ち取ることはあったが,結果的には後退を余儀なくされている.

Key Words:母子世帯,当事者組織,事例検討,政治的活動

社会福祉学評論(6):47-59、2006


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