日本社会福祉学会関東部会

地域生活支按とコミュニティの鍵概念~精神障害者の地域生活支援の「地域」とは何を意味するものなのか~


 石田賢哉 (大正大学大学院)


 抄録

 わが国の精神障害者の地域生活を支える仕組みは整備されてきている.精神障害者の生活の場は地域へと移行し,地域生活支援システムは確実に広がりを見せている,その目的は当事者のQOL向上でなければならない.本研究では,地域生活支援システム構築の流れを概観し,地域生活支援,及びコミュニティでの精神障害者の概念規定を中心に整理することを目的とする.鍵概念としては「地域生活者」「コミュニティ感情」「ストレングスモデル」等が挙げられる.地域生活支援とは,精神障害者を一人の地域生活者として認めることであり,地域生活者には自主性と責任性が内在されている.地理的範域に限定された「地域」ではなく,関係性や意識を構成要素とするコミュニティベースの視点が前提としてある.またコミュニティの基礎的用件であるコミュニティ感情は結果ではなくプロセスとして捉えることが重要である.地域生活支援における,コミュニティには「意識」や「つながり」という要素があり,その視点からコミュニティを理解することが精神保健福祉の担い手には求められる.またコミュニティそのものをストレングスモデルの視点からとらえることが今後の地域生活支援システムの展開において活用されうる可能性をもっている

Key Words:地域生活者,コミュニティ感情,ストレングスモデル

社会福祉学評論(6):37-45、2006


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