日本社会福祉学会関東部会

地域福祉における住民参加促進の実証的検討を目指して~住民が地域福祉向上に働きかけるパワーの測定の試み~


 渡辺裕一 (駒澤大学大学院)


 抄録

地域の福祉課題は,複雑化・多様化している.住民自身による地域福祉向上にむけた取り組みが必要だが,自らが当事者ではない問題を共有し,ともに問題解決に取り組んでいくことは難しい.そこで,地域福祉向上にむけて働きかけようとするパワーをエンパワメントする取り組みが求められている.しかし,どのような取り組みによって地域住民のエンパワメントを促進するのかということについて,実証的な研究は行われていない.

本研究は,「地域福祉向上パワースケール」の作成を試み,取り組みの実証的評価及び検討を可能にすることを目的としている.スケールは9項目からなり,因子分析の結果,2因子構造(「地域に働きかけるパワー」と「他者・グループに働きかけるパワー」)であることを確認した.クロンバッハのα係数が0.76を示したことから信頼性は十分であると考える.また,関連が予想される「一般性セフ・エフィカシー尺度」,「まちづくり参加意識」,「まちづくりへの住民参加の必要性に関する認識」,「地域活動参加経験」等の変数との間に有意な相関が認められ,ある程度の妥当性が確認された.

Key Words:住民参加,地域課題の共有,地域福祉向上に働きかけるパワー,エンパワメント

社会福祉学評論(4):7-17、2004


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