日本社会福祉学会関東部会

高齢者の期待的介凄ネットワーク~フォーマル・ケアとインフォーマル・ケアの組み合わせパターン別分析~


 山口麻衣 (ルーテル学院大学)


 抄録

  第1回全国家族調査(NFRJ98)の高齢者データを用いて,ジエンダーの視点から,高齢者の期待的介護ネットワークにおけるフォーマル・ケア(FC)/インフォーマル・ケア(IC)の組み合わせパターンを分析することを研究目的とした.配偶者と子の有無で類型化して分析した結果,有子者全体の約1割がFCのみ,約3割がFCを含めた回答であること,有子者全体及び有子有配偶者の男女間の組み合わせパターンに有意差があることが確認された.FCのみの回答やFCを含む回答に対するロジスティック回帰分析の結果,有子有配偶者の場合,学歴,性別役割分業観,老親扶養義務感の影響が強いことがわかった.二次分析の制約はあるが,高齢者ケア政策の課題であるFCとICの関連を検討する上で,配偶者や子の有無やジェンダーを加味しつつ,高齢者の期待的介護ネットワークにおけるFC/IC組み合わせパターンを分析する有効性が示された.

Key Words:高齢者の期待的介護ネットワーク,フォーマル・ケアとインフォーマル・ケアの組み合わせ,介護の社会化,ジェンダー,社会的ケア

社会福祉学評論(5):35~46、2005


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