日本社会福祉学会関東部会

フラナガンの来日と占領期児童福祉政策~政策立案過程と地方自治体の対応を中心に~


 岩永公成 (東京都立大学大学院)


 抄録

 本研究では、これまで先行研究において不分明なままであったフラナガンの来日の意義について、主にGHQ/SCAP Recordsに依拠して検討を試みた。その際、「政策立案」と「地方レベルの対応」という2つの側面に焦点を当てた。検討の結果、以下の2点が明らかになった。

 第1に、政策立案については、「里親養育の強調」、「児童保護施設の改善(最低基準の設定.プログラムの充実等)」、「地域社会の組織化」、「GHQ職員の補充」といったフラナガンの勧告が、その後の政策へと継承されたことが確認された。したがって、フラナガンの来日は政策立案において一定程度の意義を有していたと評価できる。

 第2に、地方レベルにおける児童問題への対応については、都道府県によってかなりの格差があり、不十分ないし不適切な取組みの事例が散見された。したがって、地方レベルではフラナガンの来日の意義は小さかった可能性が示唆された。

Key Words:フラナガン,占領期,児童福祉政策

社会福祉学評論(3):12-24、2003


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