日本社会福祉学会関東部会

エスニックマイノリテイヘの社会福祉援助~Montana Asian-American Centerを中心に~


 伊藤正子 (東洋大学大学院)


 抄録

アメリカの社会福祉実践における「民族性」への視点は、1960年代になってから「文化的欠陥」論、「マイノリテイ」論、「民族文化」論という3つの視点の流れを経てきており、その実践の目的は、「個人の変容」から「社会の変容」へ、さらには「民族固有の文化の尊重」という方向へ変化してきた。現在は、「民族文化と社会階層」の複合的な視点を基本に、民族文化に敏感である実践が展開されている。実際の援助活動は、マジョリテイによるサービスの提供と、マイノリテイによるサービスの提供との2つの立場がみられる。

本稿では、マイノリテイによるサービス提供の実践例として、アメリカ・モンタナ州における支援組織について検討を行った。マイノリティ自身によるサービスの提供は、従来の援助関係の弊害を克服し、さらにはマイノリティ側からの社会に対する関わりの新たな可能性を示唆する有効な方法である。

Key Words:文化、エスニック・マイノリテイ、社会福祉援助

社会福祉学評論(2):46-57、2002


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