ケアマネジメントがわが国に導入された経緯・意縫及び課題
鳥羽美香 (明治学院大学大学院)
抄録
ケアマネジメントがアメリカおよびイギリスで発展してきた経過とともに、わが国に導入された経緯について振り返った。わが国では、ソーシャルワークを基盤とした援助の一手法として発展した。それはニーズ発見、アセスメント、ケア計画、モニタリングといったプロセスを中心とし、地域の中でサービスを調整.仲介等してクライエントを援助するものであり、在宅介護支援センターを中心に導入された経緯がある。その後ケアマネジメントは高齢者分野における在宅福祉サービスの発展と共に、地域の保健.福祉機関において取り入れられ、実践された。その意義として、複数のニーズをもつ利用者への援助における効果、ネットワーク形成、ニーズの掘り起こし等5点が確認された。一方介護保険導入以後はケアマネジメントは制度の中で居宅介護支援と位置づけられた。従来のケアマネジメントと比較して、居宅介護支援の特徴については要介護度ごとの費用管理が必要、ニーズの掘り起こしがしにくい等5点が確認された。居宅介護支援の範囲と限界を知り、地域社会の中でのニーズの掘り起こしとインフォーマルサービスを含む援助を視野に入れ、あらためて利用者を包括的に捉え、援助することが実践者に必要とされていると思われる。