日本社会福祉学会関東部会

震災遺児の死別の悲しみ


 株本千鶴 (東京都立大学)


 抄録

阪神淡路大震災によって両親の一方あるいは双方を亡くした震災遺児たちが経験している死別の悲しみの多様性と、その多様な悲しみのかたちに影響を及ぼしている要因について、震災遺児を対象としてその心理と生活について設問調査を行った結果を用いて分析する。まず、遺児たちが亡くなった家族の死に対して持っている感情と悲しみの感情の占める割合を確認する。つぎに、悲しみの経験のしかたを、【タイプ1】悲しみの変容、深まりを経験しているタイプ、【タイプ2】喪失の直後にもっとも強い悲しみを経験しているタイプ、【タイプ3】同程度の悲しみの深さの維持を経験しているタイプ、【タイプ4】悲しみを経験しなかったタイプに類型化する。そして4つのタイプの悲しみの経験のしかたとそれに影響を及ぼす要因、(1)性・年齢、(2)親のストレス・災害による後遺症・表面化された行動、(3)生者とのコミュニケーション・死者とのつながり、との関係をクロス集計の結果から検討する。

Key Words:震災,遺児,死別,悲しみ

社会福祉学評論(2):20-31、2002


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