日本社会福祉学会関東部会

児童養護施設入所児童の家庭復帰に関する研究―家庭復帰促進要因の10年比較―


 髙橋誠一郎 (ルーテル学院大学大学院 総合人間学研究科 社会福祉学専攻(博士後期課程))


 抄録

 本研究は,児童養護施設入所児童の家庭復帰の促進要因と阻害要因を明らかにするために行った.東京都社会福祉協議会児童部会で実施している児童養護施設入所児童実態調査の 2006 年度と 2017 年度のデータをもとに,ロジスティック回帰分析を行い,二つの年度の結果を比較分析した.2006 年度の結果と比較して,2017 年度では,退所児童の年齢が上がり,在籍年数が延び,家庭復帰による退所児童の実数は減少していた.2017 年度のデータを多変量解析したところ,家族との交流が月 1 回以上,入所経路が措置変更ではなく家庭からの入所であること,兄弟がいないこと,入所年齢が低いこと,入所期間が短いことが統計的に有意であり,家庭復帰の見込みが高いという結果が得られた.

Key Words:児童養護施設,家庭復帰,復帰促進要因,復帰阻害要因

社会福祉学評論(22):66-78、2021


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