自立支援センターにおけるアセスメントに関する一考察―東京都におけるセンターPの実践を手がかりに―
櫻井 真一 (首都大学東京大学院人文科学研究科社会福祉学博士後期課程)
抄録
本研究の目的は,住居喪失またはその恐れがある人を支援対象とする自立支援センター(以下,センター)において,生活再建を図るために有効なアセスメントが行われているかどうかについて,センターPを例に検証することにある.調査結果を通して,センターPでは,制度やサービスへの適否を評価する基礎アセスメントが実施されるが,本人と環境との関係性に視点を置くアセスメントが行われていない状況にあることが論証された.また,センターが規定する支援目的・内容に合致しない人が入所していることも明らかとなった.現状においてセンターが,支援の見通しが立たない人の入所を考えるならば,本人と環境との関係性の視点から,本人が置かれた状況の理解に基づくアセスメントが必要となる.