日本社会福祉学会関東部会

知的障害者グループホームの生活における自己決定支援についての研究―利用者の生活の中での自己決定の実態と支援意識の関連を通して―


 村里 優 (日本社会事業大学大学院博士後期課程)


 抄録

 本研究の目的は,知的障害者グループホームにおいて,利用者の生活に関する自己決定と支援意識の関係を明らかにすることである.
 調査は,A 県グループホーム756 件,職員1,512 名を対象に,147 件290 名から回答を得た.結果,自己決定場面は「グループホーム内での余暇に関する決定」「食事・外出に関する決定」「購入に関する決定」「共用場所に関する決定」の4 因子が抽出さ
れた.支援意識との関連は,「グループホーム内での余暇に関する決定」「食事・外出に関する決定」には「エンパワメント重視型意識」,「共用場所に関する決定」には「自己の支援を振り返る意識」が影響し,「ヘルパー事業所の利用」「ボランティアの利用」の有無がより自己決定を促進することが示された.
 本研究により,支援者が「自己の支援を振り返る意識」と「エンパワメント重視型意識」を持つことで利用者の自己決定が促進され,また様々なサービスを組み合わせることでそれらはより高まることが明らかになった.

Key Words:知的障害者,グループホーム,自己決定,支援意識,地域資源 I.

社会福祉学評論(19):90-103、2018


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