担当制をしく児童養護施設のくらしに対する職員のかかわり ―施設経験者が語るライフラインを手がかりにして―
田谷 幸子 (東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期課程)
抄録
本研究は,児童養護施設(以下,施設)経験者の施設のくらしをどのように考
え,自分の人生の一部として意味を見出していくのかについて,ライフライン・イン
タビューを用いたヒアリングから職員のかかわりを明らかにすることが目的である.
分析の結果,施設経験者のくらしに対して担当制による支援,施設入所理由の理解の
支援,担当職員の変更の支援,退所時の支援の4 つの支援すべてがなされていること
に意味があった.また,彼らの人生を支えるものとして,職員との愛着形成が挙げら
れるが,施設長との関係形成も重要であることがわかった.また,非常に見えにくく,
捉えにくい施設経験を理解するにあたり,調査者との相互認識による関係形成の上で
のライフライン・インタビューは有効であり,ライフラインを通して施設経験を自ら
の人生の一部として捉え直す振り返りが示唆された.