就労移行支援事業における 発達障害者支援の「効果的援助要素」の検討
浦野 由佳, 大島 巌, 新藤 健太, 方 真雅, 植村 英晴
(日本社会事業大学大学院 社会福祉学研究科 博士後期課程
日本社会事業大学学社会福祉学部
日本社会事業大学)
抄録
本研究は,障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業において,発達障害の
ある人たちの一般就労への就労移行支援に特に有効と考えられる「効果的援助要素
(提示版)」リストを作成することを目的とした.
まず発達障害者の就労移行を推進し,その後にも定着・継続支援を行っている就労
移行支援事業所の職員12 名を対象とし半構造化面接を実施し,帰納的分析方法によ
って生成された援助要素を先行研究と比較分析し,発達障害に特化した援助要素を抽
出した.さらに,この援助要素をより妥当性の高い「効果的援助要素(提示版)」と
して提示するため,発達障害領域の就労支援で実績を上げている実践家7 名を対象
に,PCM 手法を援用した実践家参画型ワークショップを行った.
その結果,5 項目,22 援助要素,111 具体的援助要素が整理され,これらを総じて
発達障害者に特化した「効果的援助要素(提示版)」とした.これにより,本人,支
援者,就職先企業,家族/関係者が協働して「本人理解」を促進することで,就労・
継続に必要な環境調整が可能となり,発達障害者の就労移行,職場定着・継続が可能
になることが示唆された.