台湾長期介護管理センターにおける ケアマネジメントの現状とその課題─T市の取組みを通して─
葉千佳 (首都大学東京人文科学研究科社会福祉学専攻博士後期課程)
抄録
少子高齢化に対応するため,台湾は2007年より長期介護十年計画を策定し,高齢者が介護サービスを利用するにあたり,照顧管理専員(ケアマネジャー該当,以下CM)によるケアマネジメント方式を採用している.本研究では,日本における介護保険制度およびケアマネジメントの実践経験をふまえ,長期介護保険制度の導入に向けた現段階の台湾式ケアマネジメントの現状と課題を論じる.実態を把握するため,台湾T市の長期介護管理センターのCMに対する聞き取り調査を行った.結果,CMは半分以上が大卒で看護師資格を有しているものの,ほとんどが臨時雇用の職員であり,規定の担当件数を大幅に超えた利用者を抱えて質の良いケアマネジメントが実践できていないことが明らかになった.介護保険制度の実施に向けて,利用者がより効率的・良質的にサービスが利用できるよう,CMの基盤整備が必要であると考えられる.