日本社会福祉学会関東部会

独居後期高齢者の将来を見据えた生活支援ニーズに関する研究 ―本人が語る不安と希望の分析から―


 佐藤惟 (日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程)


 抄録

 高齢多死社会を迎えつつある中, 地域包括ケアシステムにおいては「人生の最期まで」のサービス提供体制が目指されている. 本稿では同システムの重要な構成要素でもある「生活支援」に着目し, 独居の後期高齢者自身が語る不安と希望から, 人生の最期までの見通しを持つための「将来」を見据えた潜在的な生活支援ニーズを探った.
 内容分析の手法を援用し, インタビューデータを先行研究と比較検討しながら分析した結果, ①生活の基盤ニーズ, ②地域生活支援ニーズ, ③人生の統合・死後の安心ニーズという, 大きく3 つのニーズが見出された. 独居後期高齢者にとって, 「将来」とは「人生の最期」から「死後」までを含む概念であり, 同世代の友人やきょうだいとの死別体験が, そのような意識に強く影響を与えていることが伺われた. 現在の生活困難だけではなく, 死後のことまでを視野に入れた生活支援の体制を確立する必要性が示唆された.

Key Words:独居後期高齢者, 生活支援ニーズ, 不安, 希望, 質的内容分析法

社会福祉学評論(15):55-68、2015


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