ホームレスと生活保護行政
遠藤康裕 (首都大学東京大学院)
抄録
本研究は,ホームレスに対する福祉事務所の対応を検証することで,福祉事務所による包摂と排除の実態を明らかにすることが目的である.ホームレスが生活保護申請の前日にどのような居所におり,福祉事務所に対して相談を行ったかどうかについて分析を行った.
居所と福祉事務所への相談を分析した結果,対象者の大半が「不安定住居」や「路上」を居所とし,また福祉事務所への相談がなされていない.個票分析では「安定住居」においては家族関係の断絶や働けないために生活保護に至っていた.また「不安定住居」や「路上」においてはNPO等の支援によって生活保護に至っている例がみられた.