日本社会福祉学会関東部会

医療ソーシャルワーカーの役割のあいまい化からみる専門職性についての検討―役割理論と組織システム論の観点から―


 大賀有記 (立正大学社会福祉学部)


 抄録

 本稿では,役割のあいまい化がすすむ医療ソーシャルワーカーの役割変化にみる専門職性について検討するため,ソーシャルワーカーの困難に関する文献を用い,役割と組織システムの観点からその道筋を整理した.ソーシャルワーカーの困難は,ジェネラリストであることを容認しつつも,ソーシャルワークを担うスペシャリストであることを希求することから生じてくることを指摘した.そこでその困難を解決し専門職性について提示する手がかかりを得るため,ソーシャルワークを他職種も担いうるジェネリックなものと規定した.そして役割理論でいう規範に該当する価値について,他の対人援助職と共有可能で他職種もその規範に基づいて行為することが可能なものと,社会変革や社会改良を志向しミクロからマクロまで循環するソーシャルワーカー独自の規範でありソーシャルワーカーがもっぱらその規範に基づいて行為するものとの2段階があると指摘した.

Key Words:役割,システム,あいまい化,専門職性,規範

社会福祉学評論(13):57-68、2014


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