大都市住民による高齢者の見守りの段階的検討~東京都A区の見守り参加住民に対する質問紙調査~
野﨑瑞樹 (東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期課程)
抄録
高齢化に伴って見守りの必要性が高まり,住民による見守りには異変に気づくこととそれを専門職等に連絡することが求められている.東京都A区の地域での見守りに参加している住民に見守りに関する質問紙調査を行い,見守りを契機,意識,行動の段階から捉えることを試みた.見守りの段階から地域住民は,契機,意識,行動ともに高い行動群,意識は高いが行動が低い意識高群,契機は高いが意識が低い意識低群,いずれも低い低関心群に分類された.行動群は見守りを日常的に行うべきと考えているのに対し,意識高群は変化があったら行うべきと考えていた.自身の見守り希望は意識高群が高く,加齢に伴う心身の変化や孤立に対する不安が高いことが推測される.本研究は,地域住民は一律に同じ思いで見守り活動に取り組んでいるのではなく,異なるタイプの住民が異なる支援を必要としていることを検討し,住民による見守り支援の一方法を提示することができた.