日本社会福祉学会関東部会

ソーシャルワーク研究における質的内容分析法の適用


 乙幡美佐江 (ルーテル学院大学大学院総合人間学研究科社会福祉学専攻博士後期課程)


 抄録

 本研究の目的は,ソーシャルワーク研究における質的内容分析法の適用効果と課題について論じることである.研究対象としては,学術論文データベースから本分析法を用いた文献,CiNii Articles(1987 年~2011 年,39 本)と SocIndex(2002 年~2011 年,65 本)を抽出し,文献調査を行った.
 本分析法は,記述された質的データの意味の体系的分析法で,選択されたデータの説明により仮説の生成及び検証を目的とする系統的に再現可能な手順であることを明らかにした.人々の生活上の実態の解明,支援の効果と適正性,制度政策の影響等の実態と比較検証,既存理論の検証,専門性の明確化などが適用効果として考えられ,今後の課題としては,本分析法の論理や手順の標準化が必要であり,量的方法論の志向性も取り入れた分析法として質的研究の中での位置づけを明確にすることである.

Key Words:質的研究,質的内容分析法,量的研究,社会問題現象,ソーシャルワーク研究

社会福祉学評論(13):1-16、2014


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