知的障害者の多様な形態の地域居住を実現するためのグループホームの役割-グループホーム制度創設に関わる構造的矛盾とその克服に関する文献研究を通して-
堀内浩美 (神奈川県立保健福祉大学実践教育センター)
抄録
本稿では,知的障害者グループホームの制度化の過程と,その機能及び役割と現状を先行研究から明らかにし,その上で知的障害者の多様な形態による地域での生活を実現するために,グループホームが果たすべき役割を検討した.
その結果,わが国のグループホーム制度は,入所施設不足の補完と福祉関連予算の縮小を意図しており,バックアップ施設の設置によって,地域生活の場でありながら入所施設と不可分であるという構造的な矛盾を生じたことが示された.
また,グループホームにおける支援が,ホームにおける生活の支援にとどまっており,単身生活や結婚生活等の多様な地域居住の形態に展開していく支援が十分ではないことが明らかになった.
こうした課題の克服には,グループホームが地域の社会資源の活用や開拓,ひいては地域支援システムの構築を行い,グループホーム以外の地域居住の形態への移行を目指す通過施設としての役割を担う必要があると考えられる.
その結果,わが国のグループホーム制度は,入所施設不足の補完と福祉関連予算の縮小を意図しており,バックアップ施設の設置によって,地域生活の場でありながら入所施設と不可分であるという構造的な矛盾を生じたことが示された.
また,グループホームにおける支援が,ホームにおける生活の支援にとどまっており,単身生活や結婚生活等の多様な地域居住の形態に展開していく支援が十分ではないことが明らかになった.
こうした課題の克服には,グループホームが地域の社会資源の活用や開拓,ひいては地域支援システムの構築を行い,グループホーム以外の地域居住の形態への移行を目指す通過施設としての役割を担う必要があると考えられる.